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中小企業白書2026で読み解く、賃上げと「稼ぐ力」のこれから

中小企業白書2026で読み解く、賃上げと「稼ぐ力」のこれから

公開日時:

2026/8/30 05:45

中小企業白書2026で読み解く、賃上げと「稼ぐ力」のこれから

はじめに

毎年春に国会へ提出される「中小企業白書」。数百ページに及ぶこの報告書を、日々のお客様対応に追われる代理店の皆様が読み込む時間はなかなか取れないと思います。
しかし2026年版の白書には、損害保険・生命保険代理店にとって他人事ではない内容が並んでいます。中小企業を取り巻く経営環境が大きく転換しつつある今、それは同時に「保険を売る代理店」から「経営に寄り添う代理店」への転換を、私たち自身にも迫っているように感じます。

本シリーズでは、2026年版中小企業白書の記述をもとに、代理店経営に関わる方に知っていただきたいポイントを全3回に分けて整理します。第1回となる今回は、白書が最も重く扱っている「人手不足」と、それを乗り越えるための「稼ぐ力」を取り上げます。

人手不足はこれからが本番

白書は、日本社会が今後迎える「労働供給制約社会」に警鐘を鳴らしています。15歳から64歳の生産年齢人口は今後も減少が見込まれ、人手不足は今よりさらに深刻化するおそれがあると指摘されています。

中小企業を対象にした調査では、企業が最も重視する経営課題として、中規模企業では「人材確保」がトップ、小規模事業者でも「受注・販売の拡大」に次いで「人材確保」が高い割合を占めています。企業規模を問わず、人材確保は経営の最優先課題になっているのです。これは代理店にとっても人ごとではありません。

お客様の経営課題が「人」に集中しているということは、労災・健康経営・福利厚生に関わる保険商品や制度の提案余地が広がっているということです。同時に、代理店自身の組織もまた同じ構造的な人手不足に直面していることを、白書は静かに突きつけています。

「稼ぐ力」を高めなければ賃上げは続かない

白書は、中小企業の労働分配率がすでに8割近い高水準にあることを指摘したうえで、持続的な賃上げには「稼ぐ力」=付加価値を生み出す力を高めることが不可欠だと述べています。
ここで強調されているのが「現状維持は最大のリスクである」という一文です。
デフレ・ゼロ金利の時代からインフレ・金利のある時代への転換期において、短期的な損益だけを追うのではなく、長期的な視点で事業構造・組織構造を見直す「戦略」を持った経営への転換が必要だとされています。

労働生産性を高めるためには、リスクを取った成長投資や新分野への挑戦、M&Aによる事業構造の組み替えが有効な取組として挙げられています。代理店の立場で読むと、この一文は重い意味を持ちます。
更新業務や比較提案を中心とした「守りの経営」を続けるだけでは、お客様に伴走するリスクマネジメントの担い手にはなり切れません。
白書が中小企業に求める転換は、代理店自身にも同じ形で問われているのです。

おわりに

今回取り上げた「人手不足」と「稼ぐ力」は、いずれも中小企業経営者が日々向き合っている現実的な課題です。
労働供給制約社会の到来により人手不足は今後さらに深刻化し、賃上げを続けるには「稼ぐ力」=付加価値を高める戦略的経営への転換が欠かせません。

そしてこれは、代理店自身にも同じ形で問われている課題でもあります。「守りの経営」を続けるだけでは、お客様に伴走する経営リスクマネジメントの担い手にはなり切れません。

次回・第2回では「事業承継」と「生産性向上・AI活用」を取り上げます。

経営者の高齢化が進む中で事業承継がどのような意味を持つのか、そして人手不足を乗り越える武器としてのAI活用について、白書の事例とともにご紹介します。

出典:中小企業庁「2026年版中小企業白書

取締役COO/代理店経営変革・営業戦略・組織開発
井上 賢一

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